形成外科とは
形成外科では、日本形成外科学会が認定する形成外科専門医の当院長が、先天性の疾患(生まれついての奇形、あざやいちご状血管腫 等)、外傷(やけど、けが)、瘢痕(傷跡)、皮膚・皮下腫瘍(ほくろ、アテローム(粉瘤)、脂肪腫、ガングリオン など)の切除などを、様々な形成外科的手法・技術を用いて治療、修復するように丁寧に診察・施術いたします。
人間の皮膚は損傷を受けると必ず傷跡(瘢痕)が残ります。そのような傷跡をできるだけ目立たないように元の状態に近づけるのが形成外科です。施術の際は、部位や大きさを正確に評価し、特殊な縫合法を用いるなどして、できるだけ傷跡が目立たなくなるように努めています。瘢痕を目立たなくすることで、患者様のQOL(生活の質)の向上に貢献したいと思います。
形成外科における保険治療
皮膚・軟部組織腫瘍、顔面・手足の外傷、先天性の表面異常(赤あざ、茶あざ、青あざ等)傷あと、ケロイド、眼瞼下垂、巻き爪・陥入爪など、これらの疾患の治療は健康保険が適用されます。
形成外科で行う主な対象疾患
外傷
外部から力が加わることによって組織が損傷し、切り傷や擦り傷、皮膚欠損などが生じます。受傷してから治療するまでの期間が短いほど治療の選択肢も増えます。また、感染症を発症する恐れもありますので、これらのケガをした場合は速やかに受診するようにしてください。治療では傷跡をなるべく目立たなくするような処置をご提案いたします。
また顔面の外傷では、見た目だけでなく、心にも深い傷跡を残してしまうケースがあります。顔は露出している部分ですので、交通事故やスポーツでの事故、殴打によって、大きな損傷を受けることは少なくありません。当院では、傷跡だけでなく、機能障害などもできるだけ残さない治療法で対応いたします。
このほか救急外来にて、顔面部分に縫合処置を受けたという場合も翌日に当診療科(形成外科)をご受診ください。速やかに専門的なチェックをし、必要な場合は再縫合を行うこともあります。
ほくろ
色素細胞(メラニン色素を産出)が変化した母斑細胞の塊のことをほくろと言います。これは、メラニン色素が含まれるので、褐色・茶色・黒色などがあり、医学的には黒あざと共に色素性母斑と呼ばれます。
ほくろは、生まれつきあるものと成長の途中で発生するものがあり、形状も平らなものから隆起したものまで、発生する時期・色・形など様々です。痛みなどの自覚症状はありませんが、平坦だったものが時間経過とともに隆起する場合もあります。
ほとんどのケースが良性のため、とくに医療機関を受診しなくても問題ありません。しかし、新しくできで急激に大きくなっている(直径5ミリ以上)のであれば、悪性黒色腫の発症も疑われるので、心当たりがあれば一度検査をする必要があります。ちなみに悪性黒色腫は、皮膚のガンを指します。早期発見が必要になる疾患の一つです。
ほくろは発生した場所や大きさ、見た目など気になる場合もあると思います。レーザーによる除去が可能ですが、保険適応外の自費診療となります。除去したい方はお気軽にご相談ください。ほくろの除去については炭酸ガスレーザーを使用します。
傷跡
皮膚は損傷を受けてしまうと傷跡(瘢痕)が残ってしまいます。当院では、できてしまった傷跡をなるべく目立たせないよう、元の状態になるべく近づける治療を行っていきます。すり傷や切り傷、やけどなどで皮膚が剥がれてしまったケースだけでなく、以前のけがの傷跡で、ケロイド状(傷跡が盛り上がった状態)になっている、引きつれを起こしている、以前行った手術跡などを目立たなくするといった場合でも対応いたします。
以前の傷跡が気になっている方は、お気軽にご相談ください。治療では、傷跡を目立ちにくくさせるため処置や、レーザー治療を用いることもあります。
あざ
あざとは、皮膚に色素の病的沈着や血管の増殖に伴う赤色あるいは紫色の斑紋のことを言います。視覚的な色調により赤、青、茶、黒といった色を付けて表現することがあります。
赤あざで考えられるのは、単純性血管腫や苺状血管腫です。単純性血管腫は、血管が異常に増殖・拡張することによって発生するあざです。苺状血管腫は生後間もなく発症するもので徐々に増大しますが、幼少時に消失することもあります。青あざの場合は、太田母斑が考えられます。これはメラノサイトが増えて起きる先天的なもので目の周囲や頬など顔面の片側によく見られます。茶あざは扁平母斑が考えられます。これは全身様々な場所に発生するのが特徴で、境界が鮮明な平らな褐色斑をしています。先天的か思春期の時期にできることもあります。黒あざには、色素細胞母斑(ほくろ等)があります。
あざの治療には、主にレーザーを使用します。使用するレーザーは、あざの種類によってそれぞれ異なります。
例えば、赤あざには色素レーザー、青あざ、茶あざ、黒あざにはQスイッチルビーレーザーを使用します。
あざや血管腫、毛細血管拡張症(赤ら顔)などは保険診療で対応可能です。